実在都市作成日記  NAGOYAを再現しよー  by tkiyoto
その32
5月8日(雷雨) 水はどこからやってくる

 4月どころか気がついたら5月。相変わらずの展開に皆さん慣れたことかと思います。
 ・・・・勘弁してください!

 今回は水道について考えてみます。なんかちっとも町を作る気配がありませんが、我慢しておつきあい下さい。


 まず、SimCity 3000の水道システムを簡単におさらいすると、 
ポンプ場・貯水塔・脱塩施設→水道管→建物
(下水は水道の汚染という考え方で、水道管につながっていると下水処理場が機能)

 こんな感じになっている。見れば分かるように現実の水道システムはこんな簡単ではないのだが、SimCityでこうなっているのだからSimCityのルールの中で再現していくしかない。

 実際の取水・給水方法は場所によって異なるが、あくまでも名古屋にこだわるわけだから、名古屋の水道システムをおさらいする必要がある。それでは実際どうなっているのかを見てみよう。

 基本的なデータとして、水道システムの普及率を挙げることができるが、名古屋の場合上水道普及率99.9%、下水道普及率(※1)96.7%となっている(H12年度)。

 これなら下水をどこまで、という中途半端な事は必要なさそうなレベルではあるので、特にやっかいなことはない。もっとも、SimCityの場合、普及率と言うより、下水処理場の処理能力より汚染された水の量が上回るか否かと言う問題なので、名古屋を再現して下水処理場を同じ数おいてみたらちっとも普及していない(=下水処理できていない)ということになるかもしれないが、やってみないと分からないのでこれは保留にしておこう。


 下水のことは作ってから考えるとして、ここからが本番、上水道を考えよう。
 SimCityの上水道と現実との相違についてはSimCity研究報告[#031]を見てもらえば分かるように、浄水場というものがないことが現実と異なる点と言える。


 名古屋の水道(※2)は愛知県と岐阜県の県境を流れる木曽川(※3)から取水されている。その木曽川というのは、県境を流れると言うことで、その支流でさえも名古屋には流れていない。図にするとこんな感じだ 









※1:下水道普及率が上水道と異なるのは仕方のないことであるが、日本は無駄な公共事業ばかりするよりも下水道をもっと普及させるべきだ、と言われるぐらい地方では遅れていることもあるようだ。











※2:水道というのは特に断りがなければ一般的に上水道をさすことが多い。ここでも同じように扱っていく。


※3:濃尾平野を形作るうえで重要な木曽三川の一つ。木曽川中流域は流域面積のほとんどが山間地と言うこともあり、名水百選にも選ばれるほどの水質を保つ。そこから取水する名古屋の水は大都市とは思えないほどの味であるという評判である(どこに?)。その10にも同じような説明が載せてある。
ちなみに、ヨーロッパのライン川の風景と似ているので日本ラインと言うこともままある。


(「なごやの水道」より)
 木曽川から取水されるポンプ場(SimCityと似たような物だと考えてもらえばいいだろう、怒られるかも知れないが)は二つ。愛知県犬山市にある犬山取水場(※4)と同県尾西市にある朝日取水場だ。木曽川に面していない名古屋市は、それらの都市で取水された水を名古屋の周辺(大治町・春日井市)もしくは名古屋市内(千種区)の浄水場で浄水処理し、配水場を経由しながら各施設に分配されるという構造になっている。
 

 以上のことからも分かるように、名古屋市は水を自分の所から取っていないことがよ〜く分かる。だから水がきれいなのではないか?とも言えなくもないが、やはり水源の良さと、緩速処理(※5)を未だに使い続けている(鍋屋浄水場のみ)というのがそれを支えているようである。だから「なごやの水(※6)」という水道水を缶で提供するぐらいになっている。


 SimCityでこれを再現する場合のポイントとして
  • 取水は名古屋市から離れた都市において行われる
  • 水質は良好である
 が重要になるが、前者は「他都市から水を買う(※7)」ことで解決できる。その場合、SimCityのでは汚い水が送られてくることはないようので、水質源保全など気にかける必要はない。他都市に対してお金を払えば事は済むわけだ。後者について言えば、SimCityでは下水処理場が適正な数配置してあれば水が「きれい」になるので(※8)、そう大して騒ぐこともない。

 まぁ水を買うときの問題として、財政上の問題はなんとかするしかないのでさておき、どこから買うか、と言う問題もありますが(大治町は名古屋の北西、犬山は北)、SimCityでは一つの取引(この場合水)を一つの所からするしかないので、北の都市と取引、という形にするとしよう(オファーがなかったらドキドキモノですが)。水道管は実際に引くときに考えよう。


 ・・・ポンプ場作らないことが分かるとエライ楽だな(笑)。

※4:犬山取水場は取水口を二つ持つが、取水場としては一つとして数えられる。





※5:現代では急速ろ過式が多い中で、緩速ろ過という石などを利用した自然ろ過式の浄水方法で、安全でうまいということから近年再注目されてきている。

※6:水道水を缶に入れた物(笑)。さすがに売るわけにはいかないので、イベントや見学会などで配られる。熊本市などもあるらしい。

    (「なごやの水道」より)


※7:SimCity3000から導入された機能。自分の町の水供給がおっつかない時に他の都市に水道管を繋げれば水を買いませんか、というオファーが来る。その逆もあるし、電気やゴミの場合もある。

※8:水が見た目きれいになっても、消毒臭かったり(残留塩素)、発ガン性物質(トリハロメタン)が含まれていたりして、水が本当の意味できれいになるのは現実としてそんなに甘くないが、結構陥る心理ではある。
だからこそ緩速ろ過が注目されているとも言える。

参考文献
 なごやの水道(名古屋市上下水道局パンフレット)
 なごやの下水道(名古屋市上下水道局パンフレット)


参考Webサイト
 名古屋市上下水道局



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