実在都市作成日記  NAGOYAを再現しよー  by tkiyoto
その16
8月30日(曇り) 何かは犠牲にならなければいけない

 前回、ネタ不足を露呈してしまった形になったが今回からは真面目にやります。
 いやっ、今までも真面目なんですけどね。

 最近はテレビ塔に終始してしまいましたが、テレビ塔はランドマークとして、観光スポットとしての存在が大きいので(電波塔でもあるんですけど)、実はそれほどこれは大したことじゃないんです。問題なのは、SimCity3000のグリッド(※1)が64m幅ということで、繁華街にある大通りを再現しようとすると、建物がショボくなってしまう。え?よくわからない?


 これを見ていただこう。





※1:タイルを分ける線。
左:建物用途現況図に64m×64mのグリッドをひいてSimCityに想定する場所を色分け

下:それを道路と公共施設のみ再現


 こんな感じで(大体を)分けたのだが、問題はこの道路の間隔が狭いところだ。実際の地図(左)を見てみよう。上の図の真ん中ちょい下がこれに相当します。

 この紫色に塗られたのがSimCityに採用する予定の道路です。こうやってみると道路の間隔は広く見えるかもしれませんが、SimCityのグリッドに合わせると道路が広くとらないといけなくなり、上の図のようになってしまうわけです。

 そうすると問題なのが、その細い道路に挟まれた1タイル幅の区画です。実際の土地利用はどうなっているかというと、繁華街なので高層(※2)ビルが建ち並びます。特に、南北に走る大津通と久屋大通(右から2番目と1番目の両方)とに挟まれた区画は三越、松坂屋、パルコなどが並ぶこの栄地区でも一、二を争う人の通りの多い所です。名古屋で一番地価が高いのもこの場所にあります(※3)。


 そんな場所なんですが、1タイル幅しか確保できないと地図はいうわけです。・・・・いい加減1タイル=64mから離れたらどうだ、ということも言えますが、出来るだけ忠実に設定に従いながらやることも忘れてはならないため別の策を考えてみます。それは久屋大通公園を工夫する、ということです。

 試しにいくつかやってみましょう(テレビ塔はビックベンで代用)。 











※2:名古屋のスカイラインは昔ながらの低く、統一された形を保っているので(10階程度)、そんなに高いビルは栄地区には存在しない。最近は増えてきたけど。これを高層というかは不明。

※3:広小路通と大津通の交差点(栄交差点)の南東側の三越前が中部圏で最も地価が高い。ちなみにこの歩道では夜はホームレスが寝たりしているのである意味リッチである。
 まず最初はマップ通りに再現してみることです。こうすると、道路と道路の幅が1タイルになり、高密度商業地区として区画しても低密度の、しかも小規模なガソリンスタンドとかおもちゃ屋さんなどの建物しか建ちません(※4)。これでは百貨店になりませんし、とても200万都市の繁華街とは言えません。
 次に、久屋大通の左右の道路(※5)を排除してみます。というのも、この左右の道路は名古屋全体から見ても大した距離ではないからです。この道路は北は外堀通りでストップし、西側の道路は若宮大通(広小路通の下の方にあります)を超えた所から1km程でなくなり、東側の道路は5km程でなくなります。確かに車の量はここらへんを離れてもある程度ありますが、繁華街ほどの渋滞はありません。
 この方法の欠点は、シンボルロードでもある100m道路がただの緩衝緑地(※6)になってしまうことです。
 となると、このように百貨店のために本来あり得ないハズの2タイル分の幅(本来は最大で80mほど)を用意する方法をとってみるしかないようです。
 この方法なら百貨店や高層ビルも出来るので、見た目も雰囲気もいいのですが、なんといってもズレが生じてしまうことです。ただでさえ100m道路(久屋大通)を64×3=192mで再現しているので(!)、ズレを生じているのをさらに大きくするのです。ちょっと大きくしすぎなのかもしれません。





※4:SimCityでは大きな建物は複数のタイルを必要とする(2x2とか3x3とか)






※5:元々は100mの幅を持つ道路の真ん中を公園にした、という形になるので二本とも久屋大通りといいます。西が北向き、東が南向きの一方通行。で、若宮大通以南は西側の道路は前津通りと名を変え両側通行の道路になり、東側の道路は西川端通と名を変えそのまま一方通行を維持して新堀川沿いを下る。


※6:工業地区などと他の地区を分けるため(汚染の影響を和らげるため)に用いる緑地帯。SimCityでもよくやるテクニック。


 また、問題になるのは東西道路で同じように1タイル幅の間隔で並ぶ道路(錦通と広小路通)があることです。この間の区画もまた、ホテルや銀行などの建物が多く並びます。

 あぁ、困った。

 そこでこの東西道路の二本が先ほどと同じように名古屋全体から見てどれぐらいの意味を持つのかを考えてみる。

 まず、長さ。南側の広小路通りは県道で、名古屋を横断し、西は津島、東は長久手(東名高速名古屋ICの近く)まで続いてます(途中名前が変わったりしますけど)。一方北側の錦通りは西は名古屋駅〜東は池下間と中心街の6km程度でしかありません。
 幅では錦通りの方が広く感じることも多いが、歩道は狭く、車が比較的少ないからであり、広小路通りの方がやはり広い。
 知名度に関しても錦通りはイマイチ知られていない(と思う)。
 また、一番大きなポイント、広小路通りは歴史が長い。江戸時代からありますから(※7)。

 というか比べるまでもないんですが、知らない人にとっては規模が同じ程度なので地図を見ただけではわからないと思って分析してみました。実はそのもう一本北の桜通も錦通りと同じぐらいの長さしかないんですけど、ま、これがないとしまりがなくなるので・・・一部国道ですし。


 とにかくポイントはその道路がどこまで通じているか、街にとってどれぐらいのウェイトを占めるか、ということでしょうかね。あと、SimCityのルールも重要です(※8)。


 ということで東西道路の錦通り、排除します。残念ながら。こういったことを繰り返していくのが都市計画・・・・悲しいことです。

 久屋大通についてはまた次回に持ち越すことにします。松坂屋や三越を敵に回すか、それとも・・・・・
 


※7:江戸時代、清洲越し時に作られた堀切筋が大本。現状のものは名古屋城下の半分を燃やした「万治の大火」の後、火災対策として火が道路を飛び越さないように道路の幅を広げた所から名前がこうなった。なんでも日本初の街路灯を



※8:道路などの交通機関からどれぐらい離れていれば区画で開発が始まるか、というもの。商業地区なら道路から建物の一部が3タイル以内でなければならない(条例で4になることもある)。

参考Webサイト:愛知県土地水資源課「地価インフォメーションあいち」

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