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財政システム−収入 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(02/11/16) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
SimCityには予算編成機能がある。これはSimCity classicからある主な市長の仕事の一つである。 ただし、予算と言うよりは部門別支出と税率を変更させるだけが主な仕事となっているような感もある。なぜなら都市運営がうまく行くようならいじるのがめんどくさくなり手を出さなくなることも多いからですが、そんな予算も重要な市長(プレイヤー)の仕事である。 そもそも予算編成についての権限は[#026]を参照してもらえばわかるように、行政部局の長である市長が責任を負うというのが(首長優位型の市長・議会型なら)一般的である。ようは都市運営において一番重要な責任者・決定者である市長が予算を決めるということになる。もちろん市長の力が弱いところや委員会方式の所は議会とか委員会が決めてしまうこともある。詳細のプロセスはもっと複雑ではあるが。 予算という物は特定の期間における支出の案と収入の見込みの均衡した見積もりをした総合的財政文書のことです。そう、支出と収入が基本である(というかそれ以外は・・・)。この点に関して言えば、あまり説明する必要はないでしょう。 (注:これ以降、SimCityに準拠して、以下「歳出・歳入」ではなく、「支出・収入」で表記します) もう聞き飽きたともいますが、[#009]で述べたようにアメリカの自治体はそれぞれが異なった制度を持っています。予算についても同じです。特に予算の場合は(他の物もそうなんですが)その街の特性(というか事情)が大きく関わっています。それはSimCityをやっていてもわかるように、行政の持つ財政の権限が日本の自治体より幅広いからとも言えるでしょう(その分冗談抜きで「自治体破産」する所もけっこうありますが)。もっとも、税率をいきなりガーッと下げるとかは簡単にできるわけではないですがね。 そんなアメリカの自治体ですが、予算に関して言えば基本的に「経常予算」と「資本予算」・・・という風になりますがそれだとイメージつかみづらいので、まずは何にどれぐらいのお金が出入りするかをSimCityと簡単に比較しながら見てみましょう。 まずは収入から(債券からのものは除きます) |
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とまぁこんな感じになります。ここでは地方政府というのは市(City)や町(Town)などのような自治体の他、郡(County)も入っています。なぜ州と地方政府のデータなのかと思われるかもしれませんが、この表が一番わかりやすいと判断したからです。というのも、地方政府の収入が数字だけ並んでも特徴がつかみづらいのです。 この表から、補助金に関して言えば、「政府間収入」として州政府からの補助金も地方政府収入の31.1%を占めるように多数であることもわかります。もちろん、補助金と言って「これあげる」といってくれるわけではなく、航空や教育などの分野別に補助を行っているという形を取っているのは言うまでもありません。そう考えるとSimCityでの補助金というのは各分野の施設を本来より安くするといった効果にしているのかもしれませんが、その分析は別の機会にまかすとしましょう。 かたや連邦政府からの補助金は見たとおりほとんどありません。日本と違うなぁと感じられる方もおられるかもしれませんが、それは[#009]でも述べたように、自治体は住民が作った法人だから、という性格があるからという理由でしょう。この表であげているのは州の下の組織である郡も含めた地方政府ですが、その郡は州の下位機関なので同じく州からの補助金によるわけです(その依存割合は自治体である市町村よりは多い)。 ただし日本のように上からの補助金にあまり依存しないと行っていたアメリカの地方政府も、徐々に収入に占める租税割合が減少して、連邦・州政府からの補助金は近年上昇傾向にあるそうです。特に医療・福祉では連邦の補助が大きくなっているという。 また、一般的な財源である税収に関してですが、地方政府の税収入が地方政府収入全体の33.1%を占め、その中でも「財産税(固定資産税)」が税収の大部分を占めているということがわかります(地方政府収入の23.9%)。事実、固定資産税というのはアメリカの地方政府の税収の中でかなりのウェイトを占めています。 他にも「手数料・雑収入」、「公益事業収入」が州に比べてはるかに大きいことがわかります。手数料・公益事業収入がそんなに儲かるのかと思われるかもしれないが、その分支出の方が上回っているのが現実です。 かたやSimCity 3000の収入はこのようになっています。 |
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都市条例、取引、災害援助金などはここで説明するのは違う気もするので飛ばしますが、他の物はそうも行かないので個別に説明していきます。 「公益事業収入」などは、先程も述べたように支出の方が少ないことを考えればややこしくなるだけなのでここに登場しなくて当然であるといえよう。ただし、公益事業収入の内の「輸送」については、SimCityでも別途計上しているようだ。 しかし、実際は(支出の項で出すだろうが)輸送関連も支出の方が多いのが一般的である。同年の地方政府に限った輸送事業収入は、6,303,533(x1,000ドル)だが、支出は22,433,071(x1,000ドル)となんと3.5倍もの開きがある。アメリカだろうと「利用料>運営費」となっている公共機関というのはあり得ないので、これもSimCityでも比べてみればわかるのですが、 |
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![]() ↑収入↑ ![]() ↑支出↑ |
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あきらかに差があります。むしろSimCityの方が開きがあるというぐらいです。もちろん、輸送機関に掛かるコストの計算がSimCityとは異なるからでしょうが。ちなみに設備投資費は先ほど上げた輸送事業支出の中には入っていません。SimCityでも別計算ですよね。 他の公益事業(電力など)は電線や水道管、発電所維持費でペイ(採算がとれる)していると考えればすっきりしますが(そういう料金設定になるのが普通)、公共交通機関はあまりにも高いと自動車などを使い出す人が増えて混雑などの問題が生じるので、このように「収入だけではやっていけないけども利用してもらえるような料金」を設定していると言えるでしょう。 現在のアメリカでは、[#023]で説明したように公共交通の運営は独立採算は無理と判断し、交通関係の収入(道路税、燃料税)などを流用しているということなので、まず連邦へ行った資金の中から都市圏計画機構などに回ってくる構造になっている模様です。ちょっとややこしいので別の項での説明になります(出来るのかわかりませんが)。 それではいわゆる一般収入の税金についてはどうでしょう。 SimCityでは住宅、商業、工業という区分なので、税率も各部門ごとに変更できる仕組みとなっています。これは複雑な税体系を出来るだけ簡略化し、税率の変化による市内景気(需要と供給)の影響をよりわかりやすく、直接的(ダイレクト)に知ってもらう、もしくはコントロールしてもらうことを主眼に置いているからだと思われます。 しかし、現実の税制は各部門別に別れているというわけではないので、そういった面ではかなり違うと感じられるかもしれませんが、前出の表を見てもらえればわかるように地方政府に置いては、税収における所得税の割合がかなり低いのがわかります。というのも、日本でも同じなんですが、国(アメリカは連邦政府)は税収を「所得税」に大きく頼り、地方政府は前に言ったように「固定資産税」にその多くを頼っています(日本は住民税)。この理由の説明ははぶきますが、このことを考えればSimCityの中で所得税が各部門の税率に組み込まれていたとして何ら不思議ではない事がわかります。 とはいえ税率の設定がどうなっているかが問題であります。とはいえ税金の話は話で長くなるのでまた別の項で説明します。 |
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参考文献:「現代アメリカデータ総覧」「海外の地方分権事情」「シムシティ3000公式戦略ガイド」「新版 地方財政論」「地方自治の世界的潮流(上)」「米国の地方財政」 参考Webサイト: U.S. Census Bureau |
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