[おまけ]
 おまけ「SimCityでジュリアーニ市政」
(02/11/09)
 ※ジュリアーニ氏に対して悪意があるという類の物ではありません 再現!ジュリアーニ市政

 2001年9月11日に起こった米同時多発テロの後の(ニューヨークでの)活躍ぶりを評価され、その年「タイム」誌において(とある事情で)「パーソン・オブ・ザ・イヤー」に選ばれたりと世界的に有名になったルドルフ・W・ジュリアーニ前市長※1)(以下ジュリアーニ市長)だが、テロ以前の彼の評価は必ずしもいいものばかりではなかったという。

 そこでSimLaboらしくSimCityと関連づけて彼を再現してみることにしよう。


 まず、ニューヨーク市※2)(以下NYC)といえば有名な世界的観光都市ではありますが、「犯罪」「危険」という悪いイメージが常につきまといます。そこで市長は就任してすぐ警察官の増員を行います。というのも市長はもともとかなりのやり手連邦検事で、NYCについても「法と秩序の回復」を掲げていたからです。

 市長は初めて就任した94年に「治安の向上」「行財政改革と経済活性化」「学校教育の向上」を公約とし、犯罪率を急激に下げる事に成功し、職員削減やサービス民営化により経済も活性化され、世界の観光都市としての復活を遂げた(教育はイマイチ)。ただしあまりにも取り締まりに対する意識が強すぎる為一般市民から不平の声が挙がったりもする。


 しかし、行政的視点から見れば犯罪率減少、経済発展、ITビジネスを集積したシリコン・アレー※3)の成功などは評価に値する、ということでその業績が市民から評価された市長は再選に成功。
 二期目は以前掲げた公約だけでなく、前市長時にたまった福祉政策のツケを精算し、「21世紀までに福祉は完了させる」ということで福祉に依存しないで勤労を促進させる「福祉改革」を掲げる。

 これらは有能な市長の下で数字的な意味合いではかなりの成果をあげるが、どれもこれも結構市民から反感を買っている。

 まず、警察についてだが、「警察の権力強化」により警察官による(特に有色人層への)横暴な事件※4)がいくつか発生し、その原因を作ったとしてジュリアーニ市長が目の敵にされることにもつながります。SimCityでの「圧制的な警察」と似たような物です。

 また、ジェイウォーク※5)の罰金やタイムズスクウェア※6)からの風俗店撤去、屋台(ベンダー)の禁止などの「元検事」らしい厳しすぎる取り締まりにより、ニューヨークらしさが消えるという反感もある。

 経済活性化についても、地元独自の老舗店舗はドンドンつぶして、大手の商店が乱立する個性の抜けた街になった上に、観光的価値が上がったために地価が高騰し、そこに住んでいた人が路頭に迷う人が出たという反感もある。

 そしてホームレスはシェルターに強制的に入れられる上に、「自立」を第一義としている対策のため時に「人権無視」的行動に見え、それに対しての反感も多い。

 そんな市長を、ヒトラーや悪魔に例えることもあったそうだ。


 経済界やマスコミの評価、観光客が安全に歩ける街として見れば大成功をおさめているジュリアーニ市長だが、実際多くの信頼を勝ち得たわけではなかった。基本的に「ルール」だ「モラル」だとうるさい人はあまり好かれないのですがね、特にNYCのような半ばイリーガルな部分を持ち合わせている所では特に。
 元○○という経歴に特化した政策をすると「今はジュリアーニ市長だから俺たち警官は好きなことが出来るんだ」という高慢を呼び起こしたりもします。市長は各局の抑制・監視を行いながら、バランスも考慮しなければいけないのです。市長は難しい!


 でも、ジュリアーニ市長はテロ後の素早い対応とワンマン行政で発揮したリーダーシップがそのまま活かされ、ヒーローに・・・。女性関係問題などもあって支持が下がっていたのに、そればかりか禁止されている「三選」を希望する市民が相次いだとか。さすがにそれはかなわなかったが、次の市長は敗色濃厚だったといわれる共和党のブールームバーグ氏が選出された。

 テロがなくても割といい面での評価の方が多く退任出来たと思いますが、評価は決して支持者の数で決められる物ではありません。

 「清潔で安全な都市になった」という全体的に見れば成功をおさめたという点を評価するべきか否か。あなただったらどうします?



[編集後記]
 この情報元を見ていると、都市・経済などの専門から見た場合は評価されて、ライター、市民側の視点から見た場合はそうではないことがよくわかる。SimCityプレイヤーはどちらの視点を気にするか?

※1)ジュリアーニ市長・・・ニューヨーク市ブルックリン出身。麻薬取締局のトップ、司法省上級検事、連邦地検検事正などを歴任。麻薬密売組織とウォール街のインサイダー取引摘発などの経歴を持ち、有罪率99.9%の超やり手検事で、第二のエリオット・ネス(禁酒法時代にアル・カポネと対決した取締官)と言われたらしい。89年にNY市長に立候補するも民主党候補ディンキンス氏に敗れている。
※2)ニューヨーク市・・・ニューヨーク州の南端に位置する人口約800万人を有するアメリカ最大の都市。説明不要の街だが、行政的にいうと、マンハッタン、ブロンクス、ブルックリン、クイーンズ、スタテンアイランドの5つの行政区(borough)によって成り立つ。観光的視点から見るとニューヨークというとマンハッタン島を指す事が多い。市長の任期は4年で、三選は禁止されている。
※3)シリコン・アレー・・・かのシリコンバレーにちなんで付けられた名前で、ロウアーマンハッタン(マンハッタン島南側)の空き家を利用してコンテンツ指向型企業が発達。シリコン横町。
※4)最も有名なのはアマドゥ・ディアロ氏の事件。4人の警官に声をかけられた不法移民の青年ディアロさんがポケットに手を入れただけで41発!の発砲(うち19発が命中)により射殺されたが、この警官達はまったくの無罪となった事件。ディアロ氏が黒人で、警察も陪審員も白人だったことも相まって市警に対して反発が大きかった事件。ブルース・スプリングスティーンが歌にしたりしている。
※5)信号無視。車が走っている中でやるので、ニューヨーク名物になっている。でもそれは危険だとして取締を始めたものの、市民からの反発も強く警察もちょっと躊躇しているとのこと。一応罰金を取る仕組み。
※6)タイムズスクウェア・・・NYCの中央部にある劇場などが集まった地区。もともとニューヨークタイムズ社があったため名付けられた名とか。ポルノショップやストリップバーなどのいかがわしい店だけでなく、売春婦や麻薬売りがたむろしていたという。それを再開発してガラス張りの綺麗なビルが建ち並び、ディズニーやらが集まる観光客にウケる場所になった。右写真の場所が有名。
※数字などは適当です
※かなりディフォルメです


やはりニューヨークは「犯罪都市」の
イメージを払拭(ふっしょく)しなければ!

警官増員とコンピュータを利用した
システム確立の為に予算アップだ!

信号無視は罰金!屋台は禁止!
いかがわしい店は当然ダメだ!

ホームレスはシェルターに行くんだ!


これで地下鉄も安心して乗れるよ

・・・何?ちょっと圧制的?

そんなことじゃニューヨークには誰も
来なくなるよ!それでいいのか?
市民のみんなだって犯罪ばかり
の街に住みたくないだろ?


今度は経済政策だ

企業の誘致やベンチャービジネス
の為に商業税は下げるぞ!

犯罪も減って魅力あるお店が並べば
世界的な観光都市の復活だ!
日本人もたくさん来てくれるぞ!

あ、犯罪が減ったらちょっと警官が
余っちゃったな。それなら

で観光客の道案内もしてもらえば
イメージアップにも繋がるぞ

おっと、IT化の波に遅れちゃいけない

レンガビルの中でも「.com産業」OKよ


ワンマンだって?いざというときに何も
出来ないヤツは何も言えないぞ!

災害の対策はスピーディーに!

こういうとき警察官の数が生きるのだ

不平のない市政など目指していない。
市長に求められるのはリーダーシップ!
違うか、少年よ?

参考文献:「米国の地方財政」
参考Webサイト
 京都府駐在員事務所ニューヨークにおけるIT産業の動向
 財団法人 日本地域開発センターニューヨーク市経済活性化プログラム
 東京都東京都知事本部企画調整部「ジュリアーニ市政下のNY」
 Click2NY(素顔のニューヨーク「市長対Jaywalker」
 OCSNEWS「ホームレスであることは犯罪か」「ポリス・ブルータリティの恐怖」
 SPACE ALC(地球人インタビュー「ジュリアーニ市長はお好き?」
 などなど
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