[#009]
 アメリカの自治体
(02/05/10)
 アメリカの都市計画は日本のそれと大きく異なるのはその計画単位が日本のような国家単位でないことは[#006]で説明した。大体連邦国家と比べること自体アレなんですが、では日本のような国の規模に相当する「州」なら比べられるか、といったらそれもまた疑問だ。

 ということでSimCity的自治体のルーツを探る。


 アメリカでは州法で定める法に基づいて、強力な権力を持つ自治体が都市計画を作成する。実はその自治体も日本とはちょっと異なる単位で形成されている。アメリカの自治体は日本の自治体とは異なり州の出先機関ではないのだ。

 というとちょっと驚かれるかも知れないが、そもそもアメリカの都市(及び町や群)に自治体を作らなければならない義務はなく、市民がそれを求めたときに作られるのが自治体であり、まさしく「自治」をするために必要に駆られて造るのが自治体だからである。
 そんな自治体が作る都市計画が日本の物と異なるのは当たり前かも知れません。しかもその自治体も必ずしも市町村区域と重ならないと言うのですから、日本でそのことに関して論議することがいかに疲れることか・・・・。


 アメリカは州の下に郡、そしてその下に郡区が来る構造となっている。郡は戸籍や免許など基本的な公共サービスを提供する役割のものであり、郡区はない州も多いが、ある州では郡の補助的サービスをしている所が多いようである。

 しかし、市(City)や町(Town)という自治体はこの州→郡(→郡区)という流れに当てはまらない。先程述べたように市民が必要なときに作られるのが自治体となるCityやTownだからだ。City(大都市)やTown、village(農村ではなく、小規模な都市)などはその州によって規模や資格に基づいて定められるモノなので、一概にこれはこう、というものはないようである。
 なお、かといってそうやっていると、大都市の周辺は大都市による牽引力により人は集まるものの、周辺では無秩序な開発が行われるのでサンフランシスコ市・郡のような地方政府(郡や市・町などは地方政府と呼ばれる)も存在するようである。。

 ・・・我々日本人にとっては非常にわかりにくいでしょ、やっぱり。
 
villageは農村か?
 ちょっと余談なのだが、villageは日本では「村」とか訳されることが多いのだが、いわゆる日本的な田舎−農村のイメージではなく、小さなある程度の規模を持つ都市のことを示すらしい。そう、自治体は自ら作るものですから、もっと農村的なモノはもっと規模の小さいモノなのでしょう。なぜなら全国の自治体の平均人口規模は7,000人ぐらいで、1,000人未満の自治体が過半数を占めているそうだ。
 開発中だったSimsvilleは農村と言うよりもSimTownよりもっとミクロな単位のSimCityにしたかったということだろう。
 
 と、このような自治体の他にもさらに特別地区やら学校地区なども存在する。ようは明確な規定がないのである。それはそもそもこういった政府は政府を作りたくてやっているわけではなく、必要だから生じたという歴史があるのだろう。

 という感じで、なんせ州→郡のように上から与えられた組織(トップダウン式)とは違う自治体(下からなのでボトムアップ式)なもんですから、住民に身近なのです、日本よりも。

 だからといって自治体が住民のことを考えているかというのはまた別問題ですが。

参考文献:「現代の都市法−ドイツ・フランス・イギリス・アメリカ−」
[戻る]