[#001]
 アメリカとの比較
(01/05/22)
 SimCityは文字通り英語圏、アメリカ生まれのゲームです。その為日本とはだいぶ異なる点が多いのです。

 これが日本で特に「リアリティーがねー」と思われる理由の一つでもあるのですが、特に国土上の理由、文化上の理由などSimCityが日本では通用しない点を有しているのはいうまでもありません。

 それは建物であったり、土地の問題であったり、自動車文化であったりと様々です。アメリカは日本やヨーロッパの国々と違い、新しくて広大な土地を有している国です。その為都市の発展経緯もお城を中心としてきた日本などとは異なるのも当然なわけです。
 というわけで、アメリカ製であるということを押さえておかないとえらいことにもなりかねないので、これだけは頭に入れて置いてください。テストに出ますよ(出ねえよ)。


 アメリカの都市と日本の都市、一体何が違うのか?
 答えは風の中・・・じゃなくてたくさんあるんですけど、一言でいえば歴史が違うのです。歴史が違うからこそ文化が違い、都市の顔も変わってくるわけです。とはいうもののそんなんではさっぱりわかりませんね。そこで日本と比べながら考えてみましょう。


【日本の歴史】

 日本はみなさんもご存じ単一民族単一国家といわれ、日本という地形(あれですよ、あれ)が出来てからずーっとそこに居続けた民族の多くが作ったわけで、同じ地に同じ民族がずーっと住み続けたというわけです(もちろん、他国からの移住者もいますが)。
 同じ民族といえど人の集まりです。社会科で習ったように村どうしの争いが始まります。当時ですから当然歩兵の時代です。歩兵を防ぐには何が必要か・・・柵、そして壁です、大きな障壁があればいいのです。ルパン3世の石川五右衛門じゃないので壁なんてそうそう壊せません。というわけで砦、城というものが出来て、大きな壁で町を守るようになった。特にリーダーの住むところはそうなるように今後ずーっとなっていったわけです(極端な例ですが)。

 こういって「城郭都市」と呼ばれる城の外壁で囲まれた都市を作ったのが中国やヨーロッパです。日本は平らじゃないので余りできません。

 といっても城ばかりが都市ではありません。
 人が住みやすければ都市が出来ます。その手の本を開けば説明してあるのですが、都市間の交通上で便利だと思われた所、港や鉱物が取れるような所などなど様々なところに都市が出来るようになった。しかし、いずれにしても戦争の二文字の脅威にさらされてきたのは中国やヨーロッパと同じ歴史をたどってきたと言えましょう。そうして城下町、宿場町、港町と姿を変えて現在の都市になってきた、というわけです。特に平野の少ない日本では都市の歴史がおもいっきり長いこともあるのです(都市ごと移動する場所が少ないから)。


【アメリカの歴史】

 アメリカも決して日本と同じように村間の争いがなかったとは言えません。いや、大ありです。
 ただ、アメリカの場合は大航海時代にやってきたヨーロッパ人の文化によって、それまで培ってきた歴史を崩されてしまったのです。フロンティアスピリッツといえば聞こえはいいですが、他民族によってこれまでの歴史の流れががらっと変わってしまったのです。なんせいきなり鉄砲や大砲もってますからね。戦争の形も違うのです。それだから大砲で壊れるような城はいりませんし(昔はありましたけど)、当時は「経済」という概念が出始めた頃なので、ゴールドラッシュのようにある意味ちがう争いがあったのです。

 食べ物を求める争いからお金を求める争いへとも変わっていったということなのかもしれません(まぁそれだけじゃないんですけど、そういうこともあるわけです)。

 とはいえ近代国家システムがいきなり入ってきたわけですので、そうそうポピュラスのように(※)勝手に闘うわけはいきません(ありますよ、もちろん。歴史を見ればわかりますよね)。法があった、ワシントンがいた、リンカーンがいた(?)。
 そういうこともあり、時代が時代・・・自動車の普及など時代に即した発展をしてきたアメリカの都市は、となり町、国の侵略を受けないようにと発展してきたヨーロッパや日本と違い、大げさな表現ではありますがかなり自由に作られてきたのです。日本などが人を中心として、防御上優れた都市を作ってきたのに対し、アメリカでは整理しやすいよう、車が走りやすいよう道路が敷かれ直された。そのためアメリカの都市は格子状(グリッドスタイル:碁盤の目のようなもの)で、放射状(中心から外へ広がる)な所が多いわけなのです。日本やヨーロッパでもなくはないですが、数や幅は比べるまでもありません。

 そう、一番の大きな違いは自動車に対応した都市なのかそうでないかという点なのです。もちろん、土地に縛られないというアメリカ人だからこそ大胆に都市計画という都市設計が出来た訳なのです。日本の土地神話とはだいぶ異なりますね。また、日本では「駅」を中心に発展してきた、というのも近代においてはアメリカと異なる点でしょう。

 都市が出来た時代背景が異なる、これはどこにでもいえることですね。


 そんなわけだから日本とアメリカはまったく異なるわけです。そう、広大な土地と時代にあわせた近世の都市計画技術・・・守ることや順番に発展させることを念頭に置いて作られた江戸とかとは明らかに道の作り、都市の作りが異なるわけです(もちろん、城下町などは格子状ですが)。だから日本では恐ろしく狭い道があるし、まっすぐでない道がかなりある。特に城や駅を中心として発達してきた日本では必然的に格子状ではなく放射状の町が多いわけです(境界線も直線で分けられます)。

 だから「斜めの道がなぁ〜」というSimCityに対する声もやはり日本の方が大きいのです(勝手に想像)。そして、狭い土地ゆえに細かく再現しようとして失敗する訳なのです。


※ポピュラス・・・プレイヤーが神となって人間の誕生、戦争、滅亡という歴史を見守りコントロールするゲーム。人間達は勝手に動くので神は地形を崩したり災害を起こしたりしてコントロールするという哲学的でマニアックなゲーム。
 
[戻る]