Part 1 SIMCITY 3000について


イントロダクション

SIMCITY 3000とは何か?

 SimCity 3000はシミュレートされた市民(シム人)、交通、商業、工業、公益、税金とその他諸々の都市生活の重要な局面までも備わっている、都市生活の動的モデルをもつ都市シミュレーターです。そのグラフィカルなインタフェースは子供たちにとっても十分使いやすく、また、その柔軟性と正確性は大人にとっても十分適したものとなるのです。

 SimCity 3000は教材として、生徒たちをあたかも市長になったかのような感覚にさせて学ばせることができます。そして彼らはこれを使って次のようなことをするでしょう。
  • 自分で都市を作り、それを管理する
  • 地価に対する地形の効果を把握する
  • 工業、商業、と住宅の人口との間の関係を調査する
  • 異なったタイプの都市配置を比較・対比する
  • どのような技術の進歩が、公益施設や汚染に影響を与えるかを探究する
  • 公共の安全を向上する方法を調査する
  • 税金と都市経営との間の相互依存の関係を見定める
  • 大量輸送機関の経費と利益を見極める
  • 法律と条例について学ぶ


我々の目標

 教育ソフトの提供者として、我々の第一の目標は、それらのシステムをプレイする方法を教えることで、人々がこの複雑な都市システムの理解を深めることを手助けすることです。そのために我々は、ゲームという形で様々な情報を提供します。そしてそれは教育と学習をいっそう楽しいものにするでしょう。

 SimCity 3000(やその他のシミュレーション)を使うことにおいて、我々の最大の目的は、シミュレーションを越えて見ること・・・すなわちSimCity 3000から得た知識を実世界に反映することを手助けすることなのです。SimCity 3000は、生徒達にとって何気ない抽象的なものではあるが、実世界には何千という都市に何万という人が同じような必要・要求・希望を持っていて、我々は人々や都市、地球、そして自分自身の生活に、敬意と注意を持って扱うべきであることを明らかにしてくれるものなのです。

 多くの部分で「抽象的すぎるものだ」と考えられてきたものに取り込むことや、一般的によく知られていない活動をする機会を生徒達に与えることで、彼らが都市や都市経営のことについて学ぶだけではなく実世界の微妙な固有のバランスの認識やそのための感性を発達させることを我々は望むのです。


現実世界でのシミュレーション

 SimCity 3000はMAXISから出されているシステムシミュレーションと呼ばれる製品のひとつです。システムシミュレーションで我々は、システムを描写し、創造して、そして管理するルールとツールを供給します。このようなシミュレーションは、天文学から動物学までの全ての分野の研究者に、従来のような研究室での研究方法では不可能で、非実用的で、非人道的で、違法であった手段を可能にするますます強力なツールとなります。

 シミュレーションでは現実的なモデルや仮想的なシチュエーションを作っているのだけに留まらず、ユーザーがどんな特定の変化がシステムに影響を与えるかを見るために個別の要素を変させることが出来ます。実世界と異なり、シミュレーションではそれ自身で気候から物理学の法則、そしてそれ自身の時間まで何でも含まれている個々の要素についての正確な操作が出来ます。



シミュレーションの教育性

 シミュレーションはただの知識の獲得よりも、むしろ行動・やる気といったものをもたらします。なぜならシミュレーションならば学生達は、結果ではなく過程を学ぶことができるからなのです。そうすればシミュレーションで学生達は新しいアイディアを見つけて、それを試すようになります。それは、単に事実と原則の組み合わせについて学ぶよりもむしろ、ある状況に応じて原則が適用されたときに何が起こるのかを発見する事になるでしょう。この学習のプロセスにおいて学生達は活動的で頼もしい参加者になるでしょう。

 SimCity 3000のようなコンピュータシミュレーションを使うことはただの体験学習以上のものとなります。それは研究のための新しいツールの序章でもあります。
  • シミュレーションは、丸暗記の学習よりもむしろ想像力に富む考えを促して、そしてそれを必要とするようになります。
  • シミュレーションは生徒達に自らが決定するという経験を与え、そしてその結果を自分で素早く知ることができます。
  • 学生達はシミュレーションで、他の人がしたことを読むただの傍観者ではなく、むしろ自分自身が仮説を立て、それに従うように行動する探求者になることができます。
  • 学習が教師中心のものから、学生中心のものになります。
  • シミュレーションは、調査プロセスが累積的で、絶えず広がっていると想定するときに特に有効であります。
  • SimCity 3000のようなシミュレーションは、学際的な学習を適切に容易なものにします。社会科学を研究するというような利用に加えて、SimCity3000は、数学、統計学、生態学、歴史学、地理学、そして、さらに創作活動までにも刺激を与えることができます。
  • シミュレーションは優等生とそうでない学生(学校に退屈したり、勉強に追いつけなかったり、集中力がない学生達)の両方を引き込むために使うこともできます。


シミュレーションの限界

 シミュレーションは創造するということや、調査をさせるという活動などに多くの可能性を与えます。しかし、それにも限界があることを念頭に置くのも重要であるといえるでしょう。それは、シミュレーションは明確にしてみるとやはり現実的なものではないのだからです。どのシミュレーション部分も同じように複雑ではあるが、やはりそれは単純なもので、実際の世界には決して追いつくことができない人工的なシステムなのです。

 だから学生達はシミュレーションの限界や、コンピュータの中でのシステムの働き方と現実世界でのシステムの働き方との違いに注意しなければならないのです。だからすべての観察と結論から、学生はどのようにシミュレーションの限界が、実験のデザインや集めることのできたデータ、および実験の結果に影響を与えたかを熟慮するべきなのです。

 一般に、シミュレーションを扱う時に出される特定の結果は不正確であるかもしれない。しかし、一般的な傾向は(単純なシミュレーションでさえ)かなり正確である傾向があります。


SIMCITY 3000ティーチャーズガイドについて

 このティーチャーズガイドは、あなたがSimCity 3000を教室に使うことがほんの少しの準備だけで出来るように作られています。あなた方や生徒達が調べ物をしたり、SimCity 3000を遊んでいったりするにつれて、あなたはこのゲームプログラムの教育利用への可能性を高めるためにも、担当科目への利用や関連づけ、応用などを考えて発展させるでしょう。そしてそのことについてあなたが我々に手紙を書いたり、電子メールを送って(Part3参照。アメリカサイトになります)教えてくれたりするならば我々はありがたく思います。そして我々は他の教師とともにあなたのアイディアを分け合ってあなたを助けることもできるでしょう。

 このガイドは以下の3つのパートに分けられています

Part 1:SimCity 3000について
 ここには SimCity 3000の一般的な概観を与え、教育としてのシミュレーションを論じ、そしてあなたの教室でSimCity 3000を使うことについて記述していて、コンピュータでSimCity 3000を使うことについてのロジスティクスを含んでいます 。

Part 2:SimCity 3000でのシミュレーション
 ここには3つのユニットが含まれていて、それぞれが異なった主題の範囲をカバーしています。それぞれのユニットには、ユニットの要約、バックグラウンド(背景)、そのユニットのシミュレーションについての討議が含まれていて、それぞれのユニットの中でシミュレーションの目的とやり方についての説明をし、いくつかのケースではシミュレーションについてのより一歩進んだ活動について詳細に述べています。このパートは「取りかかろう」の中で、クラスでシミュレーションを行う前に準備しておくべきことについて説明しています。

Part 3:解説書とリソース
 ここにはPart2で行う最初のレッスンのための解説書を含んでいます。また、SimCity 3000の操作方法の他にも、学習の手助けになると思われる、5つの選ばれた実際の都市(シカゴ、ヒューストン、マイアミ、ニューヨーク、サンフランシスコ)の人口統計や経済のデータなどの参考データがあります。また、このパートにはリソースと著作者についての情報が載っています。

 このガイドの「活動内容」にて、その活動のサンプルとSimCity 3000を使って扱えることができる主題のサンプルを手にいれることが出来ます。また、我々はこれらの活動によって、学生が計画を明らかにし、行動を起こし、そして問題を解決する準備をするようになることを期待しています。

 あなたが使うために、このガイドのシミュレーションや活動を6年生から12年生(日本でいう高校3年生)またはそれ以上の学年が使うように適応させるようにしてもよいでしょう。あなたが教える科目にあわせて、連続的にこれを使ってもいいし、一つの体験学習としてもいいし、それぞれのテーマに合わせて主題をふさわしくするために作り替えましょう。また、このガイドが小さい学年に対しても柔軟に対応できるので、あなたは少しだけレッスンを手直しして、あなたの担当する学年や取り扱うテーマに対して必要なものを加えたりする必要があるかもしれません。
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